SMのQ&A - 回答と解説
【1】SMの精神的なコト
-01.SやMの素質って誰もが持っているのですか?
加虐・被虐欲求の原理である「攻撃性」は人類誰もが持っています。
…と言ってもその「攻撃性」を欲求として感じるほど強く認識する人は決して多くないので、「S」でも「M」でもない人が圧倒的多数な訳です。
なので、「攻撃性」は誰もが持っていますが「攻撃欲求」を持っている人は限られると言えるでしょう。
「攻撃性」と「攻撃欲求」のどちらをSMの素質と見るかは質問者の判断にお任せしますね。
-02.…私ってMですか?
被虐的性行為に対して何らかの関心があってこのサイトへお越しになられたのであれば、少なくとも性的には「M」と断言できます。
精神的な欲求から派生した被虐性か、性的な欲求から派生した被虐性かは個別にお話を聞いてみなければわかりません。
被虐者にも度合いと趣向がありますので、アナタの被虐欲求の源を知りたいのです。
-03.SMってヘンタイですよね?
そうですね…決して大衆的なモノではありませんし、閉鎖的で排他的な世界と言えますね。
でも「誰にも知られたくない」「ヘンタイって思われたくない」な自分を唯一解き放ち、受け止めてくれる世界でもあります。
SMは誰にでも出来る訳ではありませんから、加虐・被虐欲求を「個性」「才能」と思えばいいのですよ。
-04.被虐願望があるのは異常なんですか?
はい。否定はしません。
上記にも書いた通り、「異常」ですが「個性」であり「才能」でもあります。
願望というのは本能的欲求ですから、理性で抑え込んでいても消し去る事はできません。
鬱屈したまま抑え込むより「個性」として受け入れてあげる方が自然体でいいと思うのです。
-05.性行為の時だけ被虐願望を覚えるのですが、これってヘン?
社会生活において被虐願望を覚える人は殆どいません。
誰しも理性という「表の顔」があって、社会に組み込まれた一個人として世間体や身分に自分を適応させているからです。
性行為の時は心身が解放されるので「表の顔」が緩んでしまう事が多々あり、すると本能的欲求がこぼれ出てしまうんですね。
なので別にヘンでも何でもありません。
アナタの心の奥底に被虐欲求が存在していて、理性の隙をついて顔を覗かせただけです。
その被虐欲求を心の奥底にしまったままにするか昇華させるかはアナタ次第ですよ。
-06.性的被虐と精神的被虐の違いとは?
被虐者が被虐によって得る快楽の種類の違いです。
「性的被虐」は性的興奮や性的快感を狙って行われる被虐、「精神的被虐」は心理的・精神的な快感を狙って行われる被虐をそれぞれ指します。
SMにおいてはその両方を得る為に「調教」というスタイルが確立しています。
-07.攻撃性ってなんですか?
攻撃性は人類なら誰しもが持っている「積極的防衛衝動」と言われていますが、他にも諸説あります。
他者に対して攻撃性が発揮される場合は加虐欲求となり、自分自身に対して攻撃性が発揮される場合は被虐欲求となります。
他者との闘争心や自己犠牲的社会保身が「積極的防衛衝動」の根拠とされています。
-08.自傷癖がありますが、SMで治す事はできますか?
自傷欲求に対しての転換は可能でしょうが、自傷癖の要因は他にも様々あるので根治は難しいでしょう。
SMは治療行為ではありませんので…やっぱりお医者さんにはかないませんよ。
-09.SMを始めたら普通のSEXでは物足りなくなってしまいませんか?
そんな事ないと思いますよ。
SMに求める精神的快楽と普通のSEXに求める精神的快楽は厳密には別のものですしね。
普通のSEXとSMは同じ土俵には立っていないと考えて頂いて問題ないかと。
-10.「主従関係」はセフレ?恋愛?
基本的にはどちらでもありません、主従は主従です。
世間的見方からすれば、主従関係を調教時に限定すれば「セフレ」で主従関係を日常にも求めるのであれば「恋愛」と受け取られるでしょう。
主従関係というのは深層の信頼関係ですから、表層的な「セフレ」や感情に左右される「恋愛」よりも重い「契約」なのです。
互いを必要とする度合いの違いだと考えて下さい。
【2】SMの調教に関するコト
-01.責苦が快楽になるって本当ですか?
被虐者に共通する特性なのですが、被虐欲求を秘めている人は心身の感受性が非常に豊かなんです。
なので被虐的自己陶酔を得やすく、性的感性も優れているんですよね。
普通の人であれば只の責苦であっても、被虐者の持つ豊かな感性からすれば深い快楽になり得るのです。
感受性が豊かだと傷つく事も多いと思いますが、私は才能なんじゃないかなぁって思っています。
-02.NGプレイって許されますか?
許す加虐者もいれば許さない加虐者もいます。
どちらが良い悪いではなくて、許すか許さないかは加虐者と被虐者の主従におけるスタイルの違いなのです。
簡単にNGが認められてしまうと張り合いがないと思ってしまう被虐者もいますしね。
-03.初心者は何から始めたらいいんでしょう?
夫婦や恋人等のカップルであれば「普通のSEX」の延長として目隠しや言葉責め、単純拘束等から始めていくのが自然な流れかと思います。
相手がいない人はまずパートナーを見つける事でしょうね…当然ですが。
加虐志望であれば被虐経験者、被虐志望であれば加虐経験者をそれぞれパートナーになさる事をオススメします。
-04.専門道具って必要ですか?
プレイの幅も広がりますし得られる効果も高まりますので、ある程度SMの経験を積んでいけば絶対必要にはなってきます。
ただ初めからアレコレ集めなくても大丈夫です。
身近な物で代用している人もいますし、道具をDIYしているマニアックな加虐者もいますからね。
大事なのは「道具」ではなく「道具を操る加虐者の技術」ですから、そこだけは勘違いなさらないで下さい。
-05.ソフトSMと本格SMの違いとは?
明確な境界線はありませんが、言及するならばやっぱり技術を必要とするかどうかで分かれると思います。
目隠しや単純拘束なんかは布さえあれば誰にでも出来る訳で、相手が加虐者である必要はないんです。
ただこれが麻縄緊縛となると緊縛の技術を伴うので、誰にでも出来る訳ではありませんよね。
責苦や被虐的性快楽を与えるには技術と覚悟が求められるので、その差なのかもしれません。
-06.レイプや乱交ってSMに含まれますか?
どちらもSMと似た要素は持っていますが、確実にSMには含まれません。
レイプにはSMに必須である信頼関係がありませんし、乱交には主従の要素が欠けているからです。
どちらもSMのプレイとして成り立たせるには一定の条件付けが必要になります。
-07.アダルトSMビデオは参考になりますか?
まずストーリーや演技を排除してプレイのみに限定するなら参考になる場合もあります。
視覚的演出がAVの基本なので、実際の調教には適さないプレイもAVでは行われていたりします。
そこの取捨選択が出来るようであれば「アイディア」として十分に参考になるでしょう。
-08.責苦に耐えられない場合はどうしたらいいのですか?
「セーフワード」「危険信号」等と呼ばれるプレイの即時中止意思行動が設定されています。
調教開始時に予めSMとは関連しない言葉(セーフワード)を設定し、プレイ中に被虐者がその言葉を発すればプレイが即時中止される、というものです。
拘束され口を塞がれている場合はセーフワードとは別に一定の動作を繰り返す事で危険信号とみなす等の設定がされます。
本当に苦しくて危ないと感じた場合はこれらを活用して下さい。
-09.SEXって必要ですか?
SMにSEXは必要不可欠なものではなく、あくまでプレイの選択肢の1つであるべきでしょう。
「凌辱」や「支配」という背景を持たせてSEXをする事や、「ご褒美」としてSEXをしてあげる等の条件付けがされていて初めてプレイになり得る存在です。
SEXのアリナシ論争はSMの世界で長く活発に意見されてきましたが、未だに結論に至らない哲学のようなものです。
「シメのSEX」なるラーメン的理論は個人的になかなか面白いと思います。
-10.被虐初心者には優しいものですか?
いきなりハード一直線で無理強いしてくる加虐者はいないと思いますが…絶対に存在しないとは言えないのが実情です。
加虐者の攻撃性は他者に向けて初めて昇華されるものですから、そのコントロールが上手にできない加虐者の場合はしばしばプレイが暴走してしまう事があるんです。
事前に互いの求めるレベルや趣向を擦り合わせておくのが鉄則ですので、その際に被虐者の方から限度を設定しておくと良いでしょう。
加虐者は被虐者の「成長」が精神的快楽にもなりますから、本来であれば徐々にハードルを上げていくのが好まれるハズなんですけれどね…。
【3】その他SMに関するコト
-01.容姿や年齢って大事ですか?
主従は恋愛ではありませんから、SMの世界で容姿や年齢に拘る人ってあまりいませんね。
精神的な繋がりが大事なんです、建前ではなく本気でそうです。
あとは趣向が似ているかとかお互いに欲求を満たせそうかとか…その方がよっぽど大事です。
-02.加虐者が複数の被虐者と主従関係を持つのはアリなんですか?
アリかナシかは加虐者によって判断が異なりますので言及は避けますが、主従の理論のみで可能か不可能かと問われれば「可能」です。
主人1人に対して従者も1人でなければならない理由が存在しない為で、逆に複数の従者を抱えている方がより主人として魅力的だと思う従者もいたりしますから主従とは不思議なものです。
ちなみに当然ですが従者は複数の主人と主従関係を持ってはならないので、これだけは忘れないで下さい。
理不尽だと思われるでしょうが、主従関係は理不尽であるからこそ被虐的なのですよ。
-03.パートナーとはどこで知り合えばいいのですか?
現在はネット社会ですから、ウェブサイトやSNSを利用してパートナーを探している人が大半だろうと思います。
但し、出会い系やアダルトSNSというのは信用出来るモノなのかどうか…私は利用しないので言及出来ません。
SMバーやカップル喫茶に出向くという方法が一番なのかもしれませんが、初心者にはハードル高過ぎて逆に引くと思います。
やっぱり信用出来るSM系サイトやSNS等からパートナーを探していくのが王道なのでしょうね…。
-04.ネットでパートナーを探す際に見極め方はありますか?
加虐者を求めている場合は、その人の精神的加虐趣向やSMに対する姿勢、SMの考え方について詳しく細かく聞き出す事である程度見極めが可能です。
これらは「SMは単に女性を思い通りにできる行為」「Mには何しても平気」というただSEXしたいだけの「ニセS」を見分ける方法ですね。
返答が薄っぺらい、ぎこちない、個性がない、文章が気取り過ぎ…といった場合には要注意です。
被虐者を求めている場合は、その人の被虐願望に献身的犠牲心があるかどうかを見極めて下さい。
ただ被虐と称して性的快楽だけを受け身で得ようとする「ニセM」を見分ける方法と言えるでしょう。
加虐者と被虐者は主従の立場は違えど相手を必要とし合わなければ信頼関係にはなり得ないのですから。
-05.加虐者としてスキルを身につけるにはにはどうしたらいいですか?
沢山の経験をして、1回1回のプレイを大事に行い、その感触を忘れない事が一番の秘訣です。
被虐者の反応を見て被虐者がどのような責苦と快楽を得ているのか手に取るようにわかるようになればスキルは勝手についてきます。
どんなに単純でソフトなプレイでも被虐者の反応を見逃さず、プレイを施した瞬間の自分の感触を忘れずに感覚で覚えていって下さい。
自然とそれが出来るようになれば自信に繋がると思いますよ。
-06.SMって危なくないですか?
うーん…被虐者にとって危なくないと言えばウソになるかもしれません。
それだけにやっぱり良いパートナーを見つける必要があるんですよね。
セーフワードや危険信号のようなルールの他に、個人的に緊急時の対策を講じている加虐者もいますから。
でもいざ信頼できる主従関係を築けたらそんな心配は無用です。
危なさもまた被虐的快楽の要素ですので、そこは尻込みしてはいけませんよ。
-07.調教ってどの位の頻度で行われるものなんですか?
これは別に加虐者側が勝手に設定出来る訳ではありませんから、皆さんお互いの社会生活に支障がない範囲で調整して決めていますよ。
出来れば月に1回以上は行わないと調教の成長は見られないと思いますので、月1が最低限の頻度という事になるでしょうか。
ちなみに1回の調教にかける時間は短い人で3時間程度、長い場合だと数日間軟禁状態って人もいます。
でも平均的には1晩とかなんじゃないかなぁと思います。
-08.SMってやっぱりお金が相当かかるのでしょう?
加虐者からすれば道具にかかる費用が高額なのでビックリするかもしれませんが、それは最初だけですから心配には及びません。
ローションやコンドームなど定期的に買い足すものもありますがタカが知れています。
場所代などのコストについてはパートナー同士で負担について取り決めをしてもいいと思いますよ。
-09.主従関係にプライバシーって存在しますか?
当然ですが存在します、大丈夫です。
SMは非日常の世界ですから、日常とは本来切り離されているものです。
日常に関する事でお互いに隠したい面があれば、相手はそれを許容する必要があります。
身元確認くらいはしておくべきですけれどね、お互いに。
もちろん主従関係における全ては2人だけの秘密でなければなりませんし、第三者が係る場合には双方の同意を必要とします。
-10.SMの考え方が人それぞれ違うのは何故ですか?
SMというのは精神世界のものなので、哲学的だったり心理学的だったり宗教的だったりします。
色々な角度からSMを見る人達がいて、それぞれがそれぞれの見方から考えたり発言したりしています。
なので何が間違っているとか何が正しいとかではなくて、それぞれ独自のSM観を持っているという事です。
嗜虐原理主義的な人も快楽至上主義的な人も精神優先主義な人もいる、それがSMです。
…とこんな感じでQ&Aをまとめてみました。
私のSM観が色濃く反映されないように中立的スタンスを意識して回答させて頂きました。
多少偉そうに感じる回答になってしまったかもしれません、ごめんなさい。
でも出来るだけSMに関して誤解のないように記したつもりです。
ご参考になれば嬉しいです。
もしここにないご質問や疑問などがあればお気軽にお問合せ下さいね。
最後までお読み下さりありがとうございました。