調教の代表的なスタイル
【支配者と奴隷】
加虐者は支配者となり、被虐者を奴隷に見立てて心身的責苦を与えるというものです。
典型的なSMのスタイルと思われがちですが、実は加虐者・被虐者ともにある程度以上の経験を必要とします。
立場上「支配者は奴隷に情けをかける必要がない」という絶対的優位性を肯定しているので、必然的に加虐者の趣向や攻撃性が調教における全てを支配する為です。
加虐者は自身の欲求を暴走させない覚悟、被虐者は無防備なまま加虐者の責苦を全て受け止める覚悟がそれぞれ求められます。
【飼い主とペット】
加虐者は飼い主となり、被虐者をペットに見立てて調教を行うというものです。
ペットと言っても被虐者が動物に成りきる必要はなく「加虐者に飼われている」という立場であれば成立します。
飼い主はペットに芸や躾を仕込み、褒美や罰という形で快楽と責苦を与えていきます。
加虐者には被虐者に対する情け、被虐者には加虐者に対する忠誠心がそれぞれ求められます。
【所有者と家畜】
加虐者は所有者となり、被虐者を家畜に見立てて調教を施すというものです。
上記と同じく被虐者が「家畜として加虐者に所有されている」という条件付けの分類なので、動物に成りきる必要はありません。
被虐者を家畜扱いする事でペットとは明確な差を設け、また「家畜」は財産なので奴隷以上の最低限の価値を認めています。
所有者は家畜に徹底した躾を施しますが、かと言って家畜の価値が下がるような残忍な扱いはしません。
加虐者にはプレイの質、被虐者には加虐への耐性がそれぞれ求められます。
【調教師とマゾヒスト】
SMの語源そのままの名称ですが、「主従」という関係に重きを置かず、調教の質のみに拘るという割り切ったスタイルです。
加虐者と被虐者のどちらか(もしくは双方)が経験や腕前に秀でている場合、その人と調教を行う事でプレイ技術や性的快楽の開発といった成長を得る狙いがあります。
「貸出調教」や「委託調教」のように加虐者が主従関係にある被虐者を「敢えて」別の加虐者に調教してもらう場合、このような割り切ったスタイルになりやすいです。
精神的快楽よりも身体的性快楽に著しく偏っているので、良くも悪くも表面的なSMと言えるでしょう。
【人間と動物】
被虐者をペットや家畜に条件付けするのではなく、厳格なアニマルロールプレイとして忠実に「動物」である事を必要とするスタイルです。
このスタイルの場合加虐者は管理者となり、動物に成りきった被虐者の管理をするという「人間と動物」の立ち位置に焦点が置かれる為、性行為や責苦は必須ではありません。
「ポニープレイ」と俗称される位なので馬に成りきらせる場合が多く、餌を与え、ブラッシングをし、躾を施し、排泄を管理し、必要があれば異性の他馬(被虐者)と種付けさせる等、被虐者に対する扱いは厳格過ぎる程に忠実です。
身体的性快楽よりも精神的快楽に著しく偏っている点で「調教師とマゾヒスト」とは好対照なSMスタイルですね。
【人間と物】
上記5つのスタイルは被虐者の価値条件に違いはあれど命ある存在として扱われる事に共通点がありましたが、このスタイルにおける被虐者の扱いは「物」であり、命(=心)の存在を認めていません。
被虐者の心を無視するのではなく、「そもそも被虐者に心など存在しない」という前提の元に成り立っているストイックなスタイルと言えます。
「人間椅子」「人間便器」等のポゼッションプレイは正しく被虐者を椅子や便器という「物」に見立てて扱う有名なプレイですが、嗜好が限定される為か知名度ほど普及はしていません。
それよりも被虐者をSEXドールのような「性玩具」として加虐者の一方的な性的欲求の捌け口に扱われるスタイルが好まれます。
いずれにしても被虐者には精神的にも身体的にも多大な負担がかかるので相当の覚悟が必要です。
…他にもスタイルは多様に存在するのですが、代表的なものはこれ位にしておきましょう。
次は代表的なプレイについてです。